presented by めぐみネット

料理家のタカコナカムラさんは、安全な食と暮らしと農業、環境を「まるごと=whole(ホール)」考えて活動する一般社団法人「ホールフード協会」の代表理事を務める。野菜の皮やへたなど、普段は捨ててしまう部分を煮込んで作るだし「ベジブロス」について語ってもらった。(写真:上下とも同協会提供)

ベジブロスとは、野菜(ベジタブル)のだし(ブロス)のことです。野菜の皮や根っこ、種やワタなどを使ってだしを取ります。

ベジブロスを作るにはいろいろな種類の野菜を組み合わせる方がおいしく、味わい深くなります。使う野菜の色がさまざまできれいだと、バランスが取れているはずです。

ただ皮や根っこを使うため、できるだけ安全なものを選んでほしいとも考えます。それは残留農薬の心配があるからです。

特に入れてほしいのは、タマネギの茶色の皮です。含有するケルセチンが生活習慣病の予防に重要な役割を果たすともいわれています。

アブラナ科の野菜は硫黄成分を多く含むため、独特の風味になります。ブロッコリーやカリフラワーの茎は少な目に。にんにくやニラも入れすぎると強い臭いになるので、注意しましょう。

ジャガイモなどでんぷんのあるイモ類の皮や切れ端は、だしに粘度が出てしまうので、入れすぎないようにします。

1㍑(1000cc)のベジブロスを作る場合、野菜の量は両手1杯分が目安。水を1300〜1400ccと酒を少々準備します。

まず鍋に野菜を入れ、酒を入れる。弱火でゆっくりと20~30分コトコト煮て、ざるの下にボウルや鍋を置いて、こせば、ベジブロスの完成です。

ホールフードとベジブロス

私がベジブロスを作り始めたのは30年以上前のこと。その時代は安全な食べものやナチュラルフードには「自然食」という言葉が使われていました。

自然食を実践し考え方にも賛成でしたが、何か違う広がりがあり、ワールドワイドな言葉はないものだろうかと思っていて、1980年代半ばに米国での料理の遊学中に「ホールフード(Whole Food)」という言葉を見つけました。

私が目指すものに近いと感じ、ホールフードを人生の指針とし、次の世代へ安全な食べものや豊かな自然を残していこうと決めたのでした。

ホールフードな料理で、最もシンボル的なものが野菜だし「ベジブロス」なのです。ベジブロスがアンチエイジングや健康法のひとつということだけではなく、日本の農業を考えるきっかけになってくれたら、と思います。

次回は使いたい野菜やその魅力、料理での使い方など、ベジブロスの世界をさらに詳しくご紹介します。