人生初の「みそ汁作り」は1時間40分

小学1年生の中山野歩君が、夏休みに「家族のために作るみそ汁つくり」に取り組んだ様子が映画「弁当の日~『めんどくさい』は幸せの近道~」に描かれています。台所に立つようになった子どもたちのほとんどが、1年後には卵焼きからお弁当まで作り切れるようになっています。

2019年7月20日、人生初のみそ汁作りは、1時間40分かかりました。道具がどこにあり、何からやればいいのか戸惑いの連続でした。母親が簡単そうに包丁で野菜を切っているのも、実際やってみると難しく、見るのとやるのは大違いでした。土鍋に入れる水の量も分からず、汁の少ない、具の存在感のあるみそ汁が出来上がりました。

夏休み中、その後も毎朝自分で起きて、ずっとみそ汁を作り続けました。中山野歩君はその時のことを「家族が喜んでくれるから、楽しんでやれた」と話しています。そして2週間後には、見違えるようになっていました。

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記念すべき人生初のみそ汁

「みそ汁作り」が成長のきっかけに

長崎と岐阜の祖父母に会いに行った時も、友達家族が泊まりに来た朝も、みそ汁を作りました。皆とても驚いて、喜んでくれました。みんなにたくさん褒めてもらえました。 また、朝みそ汁を作ると、頭がすっきりして、宿題に向かう時も集中することができました。

夏休み中、みそ汁作りだけでなく、洗濯物をたたんだり、お昼ご飯やおやつを作ったりと、いろんなことにチャレンジしました。そして、遠足では、弁当を全部自分で作りました。

コロナで臨時休校中も、毎朝早起きして、お姉ちゃんと交代でみそ汁当番をしたり、自分の役割をちゃんとこなしました。これまで忙しかった日々が、習い事などもすべてストップして、自由な時間となりました。そこで思う存分料理をしたり、今までやりたくてもできなかったことを親子で一緒にやってみることができました。とても充実して楽しい期間だったそうです。

「みそ汁作り」が子どもの成長のきっかけとなり、家族にとっても素敵な時間となりました。大人が余計な手出しや口出しをしなければ、子どもたちはぐんぐん伸びていく可能性を持っているのだと感じます。

文・佐世保市立広田小学校教諭 福田泰三