朝の忙しい時間をちょっと早起きをして親子で料理を楽しむ時間にしている家族がいます。

小さなころは「毎日が不思議の世界」のように感じている子どもにとって野菜の収穫は楽しいものです。

野菜作りや収穫をとおして、私たちが口に入れる食べ物は土からできていることに気づき、土がよければ、植物の成長とともに恵みも与えてくれることを自然から学びます。

子どもは自分で収穫した野菜でみそ汁をつくると、包丁の使い方、みそのこし方など、手間暇がかかり、初めての経験の難しさを知ります。うまく使えない包丁で切った野菜は大人が切るより大きかったりします。でも、大き目の具はしっかりと噛むことの練習にもなります。みそをこすのも楽しいものです。子どもにとって調理は遊びの延長でもあり、大人のマネをしながら一人前になれる自分を感じる時であります。

ホットサンドは、ゆで卵・トマト・ハムを子どもと一緒にのせるだけでも会話がはずみます。お母さんが作る食卓から家族で作る楽しい食卓に変わっていきます。

「手間をかけることは、愛情をかけること」と声高く言われています。しかし、共働きの家庭にとっては、仕事も家事も母親の仕事となると、「手間」が重たい荷物になって料理が、子育てが楽しくなくなります。母親が、過大な頑張りを自分に課すと無理が出てきます。無理をすると「やってあげている」という気持ちになって料理から心が離れてしまいます。

家族の誰もが料理を覚え、できる人ができることを楽しんでやれる、子どもも一緒にしていく時代が来ているように感じます。

文・佐世保市立広田小学校教諭 福田泰三