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終末期を病院・在宅どちらで過ごすのか、延命処置をするのかしないのか―。そんな究極の迷いと向き合う書籍『なぜ、在宅では「いのち」の奇跡が起きるのか?』(総合出版コスモ21・東京、1,600円・税別)が発売された。著者は、地域包括ケアシステムが提唱されている現場で30年間在宅医療に取り組んできた東郷清児氏。氏の目に映った現実を克明に取り上げ、「人は幸せに長生きし、幸せに死ぬべき」とのメッセージを送る。

戦後、医療の中心は病院で、高度な医療環境と医療技術こそが人命尊重の象徴であり、患者本人とその家族のよりどころだった。ところが、高齢化が急速に進み、医療費負担が膨大に膨れ上がったとき、国は、「自宅で最期を迎えたい」と願う高齢者の声があることを背景にして在宅医療の推進を打ち出した。「在宅で最期を迎えたい」と半数以上の日本国民が願っている一方で、実際には8割が病院で最期を迎えている現実。私たちは人生の最期を在宅で迎えることは、果たして家族の力だけで可能なのか。そんな大きく変化する医療体制の中で戸惑う人々の気持ちを背景に、同著は生まれたという。

「住み慣れたところで最期を迎えたい」「できれば親には家で最期を迎えさせてあげたい」「機械につながれて苦しんで死ぬのは嫌!」「苦しむ親の姿は見たくない」……。終末期医療をどう進めていくのかという命題について、一人の高齢者や一家族、一人の医師が頑張って考えればいい話ではなく、国、自治体、そして医療や福祉関係者はもちろん、国民一人一人が本気になって向き合わなければならない課題として問題提起。これからの地域ケアシステムや幸福な最期を迎える道筋を示していくことを狙いとしている。

闘病の末の最期でも、自宅で家族に囲まれて過ごすことを願う人も多いかもしれない。しかし、家族が抱える大きな負担を考えた時、さまざまなサポートを外部から得ることも欠かせないだろう。最期を迎える準備は病院か自宅か、終末期における延命治療をどうするかに絶対的な正解を見つけることは難しい中、本人や家族が判断する一助となるかもしれない。

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