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1年半近く続いている新型コロナウイルス禍。“コロナうつ”という言葉も生まれた。感染症そのものへの不安、従来のような他者との自由な交流や活動の“自粛”・オンライン授業やリモートワークなど大きな生活の変化に、大人も子どもも、だれもが多かれ少なかれストレスを感じ続けているのではないだろうか。

■コロナ禍での生活の変化を前向きに

そんな中、「生活の変化を前向きにとらえ、心の健康に食事からのアプローチを」と、ゼスプリ インターナショナル ジャパン(東京)が、6月24日、「精神栄養学から考えるコロナ禍での食事術」と題するオンラインプレスセミナーを行った。

ニュージーランド産や愛媛県・佐賀県産のキウイフルーツを販売する同社。おいしさや栄養面で注目されるキウイフルーツを、楽しく有意義に毎日の食卓に取り入れてもらおうという企画だ。

講師は、精神疾患の治療に食生活や栄養面からアプローチする「精神栄養学」の第一人者、功刀浩(くぬぎ・ひろし)氏(帝京大医学部精神神経科学講座主任教授)と、学校給食分野の研究に尽力する堀端薫(ほりばた・かおる)氏(女子栄養大学栄養学部准教授)。功刀氏は、心の不調と食事の切り離せない関係や、野菜や果物類が多く含むビタミン類や食物繊維・和食が持つ心の不調を防ぐ効果などを、データを基に解説。堀端氏は、一日の活動のエネルギー源となる朝食の大切さを中心に、ビタミン類や食物繊維を豊富に含むキウイフルーツを「ポジティブ・フード」と位置付け、手軽に作れて朝食を充実させることができるキウイフルーツを使ったメニューの提案をした。

■うつ病やうつ状態は「生活習慣病」

「ストレスに負けない心と体は、食事・運動・睡眠の良好なバランスが土台になる」と功刀氏。現代は、飽食や食の西洋化・運動不足・夜型生活・ゲームやネット依存などの“隠れストレス”がそのバランスを崩しがちだという。そこに、仕事上や家庭内、さらにはコロナ禍で生じるさまざまなストレスが加わると、一気にバランスが崩れることがありがちだと警鐘を鳴らす。警察庁の資料を基に、今年2月以降の自殺者数が前年に比べて10%以上増加している傾向も報告された。

「精神栄養学」の分野では、心の健康への食生活・栄養面からのアプローチを重視する。功刀氏は、心の健康のために取るべき4大栄養素として「タンパク質(アミノ酸)」「食物繊維」「鉄分」「ビタミンC」を提示。各栄養素効能を解説した。

▼アミノ酸は、“やる気”や“幸福感”をもたらす脳内物質の材料となる。

▼免疫系細胞の7割が腸管細胞の周りに集中している腸は「第2の脳」と言われ、食物繊維の働きで腸が活性化することが心にも好影響を与える。

▼鉄分は、うつ症状のリスクを高める貧血を解消する。植物性食品に含まれる非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒に取ると吸収率が高まる

▼ビタミンCは 脳内ホルモンの合成に寄与するほか、鉄の吸収を助け、食事から取る必要がある

キウイフルーツは、ビタミンC・葉酸・食物繊維を豊富に含むという。また、グリーンキウイはタンパク分解酵素「アクチニジン」を含むほか消化を促し、1個で1日の食物繊維不足分を補えること、さらに、ビタミンB群のひとつでありキウイフルーツが豊富に含む「葉酸」が、脳の神経伝達物質の合成に関わり、不足すると憂うつになることなどが解説された。

ニュージーランドのオタゴ大学とゼスプリが、ビタミンCの血中濃度が低い18~35歳の人を対象に行った調査(2018~19年にかけて実施)では、キウイフルーツを摂取し続けることによって幸福感の向上が見られという傾向が出ていることなども報告された。

生活習慣病としてのうつ状態やうつ病について解説した功刀氏

生活習慣病としてのうつ状態やうつ病について解説した功刀氏

■ストレスを跳ね返す生活習慣のカギ

堀端氏は、「脳は“ブドウ糖”をエネルギー源としている」「朝食を食べないと、午前中、からだは動いても頭はボンヤリ、ということになりがち」「 脳のエネルギー源のブドウ糖を朝食でしっかり補給し、脳とからだをしっかり目覚めさせる」などを挙げ、朝食の持つ意義を語った。

厚労省の「国民健康・栄養調査結果」(令和元年)では、20~30代の若い世代の朝食欠食率が高く、さらに、中学生は小学生より朝食欠食率が高くなっている。堀端氏によると、小学生の時に朝食を食べなかった子は中学生になっても食べず、その習慣が定着していく傾向が強いという。

ストレスを跳ね返す生活習慣の中で、カギを握る「朝食」。内閣府が昨年5月から6月に行った「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」で、18歳未満の子どもがいる世帯の2,168人に「家族と過ごす時間」について尋ねたところ、「大幅に増加(51%以上増加)」23.5%・「増加(21~50%増加)」22.2%・「やや増加(6~20%増加)」24.6%を合わせ、計70.3%が「家族と過ごす時間が増えた」と答えている。功刀氏・堀端氏ともに、コロナ禍で増えた在宅時間・家族の時間を生かし、朝食をしっかり取ること・楽しく取ること・家族と同居していたら家族との“共食”の時間を持つことを提唱した。

■キウイフルーツで朝食に楽しく変化を

堀端氏は、キウイフルーツを取り入れた簡単にできる朝食メニューを3つ紹介。

1つ目は、キウイフルーツでたんぱく質の消化吸収を助け、ビタミンCと食物繊維も取れる「キウイとサーモンのモーニングパワーボウル」。器に盛ったすし飯の上に千切りの大葉を散らし、皮をむいたキウイフルーツ・厚焼き玉子・サーモンの刺身を1cm角に切って盛り付ける。厚焼き玉子をいり卵にしても、サーモンの刺身はスモークサーモンにしても。

キウイとサーモンのモーニングパワーボウル

キウイとサーモンのモーニングパワーボウル

2つ目は「サンゴールドキウイとほうれん草の白和え」。キウイのビタミンCで鉄の吸収を促進し、葉酸を朝からたっぷりとれるメニュー。豆腐1丁はペーパータオルで水気を切り、 ボウルに入れ、調味料(砂糖大さじ1と1/3・2g・すりごま大さじ4)を入れて崩すように混ぜる。 キウイは皮を取り除いて縦 1/2 に切った後、厚さ5ミリ程度の半月切りに。 ほうれん草はゆでて3センチの長さに切って水気を絞り、豆腐とほうれん草を混ぜ、食べる直前にキウイを入れて軽くまぜる。

キウイとほうれん草の白和え

キウイとほうれん草の白和え

3つ目は、流行のフルーツサンドをキウイフルーツで作る、ビタミンCを丸かじりできる「キウイくるくるロールサンド」。まな板の上に敷いたラップにサンドイッチ用の食パンを置き、クリームチーズを塗り、2枚を連結するよう5ミリ程度重ねて置く。キウイフルーツは両端を切り落として皮をむき、 巻きずしを作る要領でラップを使って巻いていく。 両端は、ラップをねじって、大きなキャンディーのようにし、 3~5分程度寝かせてから、半分に切って盛り付ければ完成!

キウイくるくるロールサンド

キウイくるくるロールサンド

家族以外と心置きなく食事を共にできる世の中は、まだすぐには来ないかもしれない。そんな中でも、日々の食事において、今まであまり使ったことのない食材の栄養素にも目を向け、取り入れて食卓に変化を付けたり、ひと手間加えて食事を用意したりしてみて、楽しく食べよう! 朝からしっかり栄養を取り、体を動かそう! そのようなことが、感染症のほかにもさまざまな病気、日々の悩み事にも立ち向かっていく心身の土台となってくれるのではないだろうか。2人の講師陣は、そんなメッセージを発してくれたのではないかと感じた。

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