サーキュラーエコノミー研究家の安居昭博氏。

サーキュラーエコノミー研究家の安居昭博氏

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村全体でサーキュラーエコノミーへの移行を目指す長野県白馬村。気候変動とサーキュラーエコノミーのあり方について話し合うプロジェクト「GREEN WORK HAKUBA」(GWH)が3月上旬に開催された。Part2では、世界でもサーキュラーエコノミーへの取り組みが進むオランダの事例やサーキュラーエコノミーの実施を試みるワークショップの詳細などについてお伝えする。

GWH二日目の最初を飾ったのは、サーキュラーエコノミー研究家の安居昭博氏。オランダを拠点とする安居氏は、日本の企業・自治体向けの視察イベントなどを行っている。地域でサーキュラーエコノミーを推進する事例として安居氏が紹介したのはアムステルダムの施設「De Ceuvel(デ・クーベル)」。土壌が汚染された造船所の跡地を利用した場所で、使われなくなった船をアップサイクルしてオフィス・コワーキングスペース・カフェなどとして活用しているのが特徴だ。夏場はオフィスの電力を100%太陽光発電でまかなうなど、運営面でもサステイナビリティを実践している。

「Schoonship」は海面上昇の課題に取り組むアムステルダムの民間プロジェクト。水上に建物を建てているのが特徴で、建設中ではあるがすでに100人以上がこの地区で生活しているという。ここは電動モビリティやフローティングファーム(浮動式牧場)を共有する実証実験の場にもなっている。そのほか、世界初のエシカルファッションミュージアムである「FASHION FOR GOOD」や、サーキュラーなミュージックフェスティバルを目指す「DGTL」、オランダで最もサステイナブルなホテルといわれる「HOTEL JAKARTA」の事例などが紹介された。

上勝ゼロ・ウェイストセンターの大塚桃奈氏。

上勝ゼロ・ウェイストセンターの大塚桃奈氏

国内の先進事例として登場したのは「BIG EYE COMPANY」の大塚桃奈氏。日本の自治体としては初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を出した徳島県上勝町で「ゼロ・ウェイストセンター」を運営している。ゴミを45通りに分別している同町ではリサイクル率が80%以上に及ぶという。2020年12月に再び「ゼロ・ウェイスト宣言」を行い、企業との連携や環境教育の実施などを目標に掲げている。

最終日に行われたワークショップの様子。

最終日に行われたワークショップの様子

最終日に行われたワークショップのゴールは、“自然を守り廃棄・汚染を生まない、客が満足する宿泊施設”の実現。グループごとにアイデアを出し合って最終プレゼンテーションを行った。このワークショップで出たアイデアを受け、地元の宿「IL BOSCO」(イル・ボスコ)では2泊3日の宿泊プラン「解毒/引き算の旅」を商品化。チェックイン時にスマホなどを預けるルールになっていて、滞在中はデジタルデバイスから離れて自然を堪能。白馬の大自然の中で自分を見つめ直す時間を持つことができるプランになっている。また白馬村の事業者が協力して、村内でコンポストを進めるプロジェクトも検討されているという。

一人ひとりが行えることは大きくはないとしても、その積み重ねや協力がサステイナブルな社会の実現には欠かせない。CO₂の排出量を抑えるために週に一度は肉を食べない、移動は公共交通機関のみにする、なるべくオーガニックコットンやリサイクル素材の服を買うなど、今日自分ができることから考えてみてはいかがだろうか。白馬村や上勝町の取り組みが、ほかの地域にもどんどん広がっていくことを期待したい。

By Miyuki O.

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