平成27年のPTA講演会で竹下和夫先生がもたらした深い感動が、本校の「チャレンジ弁当」の原点でした。令和元年で4年目を迎えます。本校では、1年生から6年生までの児童が、弁当箱の準備、前日の米とぎ、ご飯炊き、おかず詰め、おかずの調理、メニューの考案、保護者との買い出しなど、弁当作りに関して、自分が関われることを選択して、「オンリーワン弁当」を作る「チャレンジ弁当」の日を年3回実施しています。
このプロジェクト成功の秘訣は、弁当作りの意義や価値、実際の作り方などについての事前指導、できた弁当への賞賛、作った子どもの感想への保護者や担任の言葉かけなどを丁寧に行うことです。
平成30年2月12日は第3回の「チャレンジ弁当」の日でした。登校する子ども達の手には、弁当を入れたバッグが揺れていました。朝の挨拶運動の合間、「昨日、家でどんな準備をし、今朝は、どんなことをしてきたのだろう?」と思わず弁当と子どもの顔を交互に見つめてしまいました。
給食の時間、全部の教室を回りました。カメラを向けると思い思いにポーズをとります。笑顔や笑い声で教室に溢れていました。どの弁当もみんなおいしそうです。そして量や赤・黄・緑の彩りにも気を配ったことが感じ取れます。
本校の取り組みは、年に1回のイベント的な「自作弁当」ではなく、学年や得意不得意などに配慮しながら段階的な挑戦を行うこと、豪華で特別な弁当でなく、栄養バランスを考えた日常的な弁当が作れることなどを目指しています。
子ども達を見ていて気付くことは、おかずの品数や豪華さなどで互いの弁当を比べていないということです。家族の協力を得ながら、工夫して作ってきたお互いの弁当に対して、できるまでの過程やできた時の満足感を共有・共感しているのです。だから、その弁当を広げて一緒に食べるとき「笑顔」が自然とこぼれてくるのだと感じました。保護者の皆様のご理解と協力に深く感謝しながら継続していきたいと思います。
文・会津若松市立謹教小学校(福島県)校長 山本 靖