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東日本大震災後、福島県で教育復興事業に携わってきた一般社団法人リテラシー・ラボ(東京)は、「起き上がる学校―3.11から10年、福島県双葉郡の先生へのインタビュー(仮称)」を、日本財団の助成を受け刊行する。同震災と原子力災害による避難先での教育活動に取り組んだ教員たちへのインタビュー記録集。
災害時における教員の経験や思い、避難先での教育活動の取り組みや仮設校舎での生徒との思い出など、これまで語られることが限られていた教育の側面を、15人の教員へのインタビューを通して公的記録としてまとめた。福島県内の学校へ配布されるほか、教員養成課程を設置する大学や全国の公共図書館、大学図書館などに配布を計画している。
福島第一原子力発電所が立地する福島県双葉郡は、2011年3月に起きた東日本大震災とそれに伴う原子力災害によって、郡内8町村全ての自治体が避難を余儀なくされた。地域内の公立学校はすべて休校となり、各避難先で自治体ごとに教育活動の再開を試みた。避難先地域の学校に就学を促す方針を打ち出した自治体、避難先に仮校舎を設置して教育活動を再開した自治体、段階的に仮設校舎を設置した自治体など、それぞれの自治体がそれぞれの方法で、子どもたちの学びを守っていくことに取り組んだ。
コロナ下で子どもたちの学びや体験の機会が制限を受けたり、自然災害により地域環境が激変したりなど、学校現場は常に多様な課題に向き合っている。そのような中で、自治体ごとの異なる取り組みや、複雑化した地域における教育活動に従事し教員たちの記録を、これからの教育の知見として生かすために作成された。
インタビューに向けて事前調査を進める中で、10年間をいくつかに区切り、同一期間に絞って教員たちのインタビューを進めることに。初の試みとなった今年度は、震災と原発事故が起きた2011年3月から2013年3月までの2年間を中心に、その期間に双葉郡8町村で教員として従事した15人に協力を得て実施した。今後もインタビューを継続し、多様な環境の下での教員の経験や思いを記録し、教育の意義や可能性について社会で考えていくために発信していくという。