香りの種類でスピードの感覚が変わることを証明 エンターテインメントに応用可能な成果 画像1

情報通信研究機構 「今回の実験で使用した装置、視覚刺激、実験結果」

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国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、東京都小金井市)の未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(大阪府吹田市)の対馬淑亮主任研究員のグループは、心理物理実験と機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)実験で、香りによって映像のスピード感が変わる現象を発見した、と発表した。

実験で、NICT発のベンチャー企業、アロマジョイン(京都市)の「アロマシューター」を使って嗅覚刺激を制御した。実験の参加者に、小さな動く白点(モーションドット)の動きの速さを回答してもらった。その結果、同じ速さの場合でも無臭時に比べてレモンの香りが伴うときは遅く、バニラの香りが漂うときは早く感じることが分かったという。fMRIを使い、ほぼ同様の実験を行って脳活動を調べたところ、香りによって視覚野の活動が変わることも確認されたという。

視覚と聴覚、あるいは嗅覚と味覚、などいくつかの異なる感覚が互いに影響を及ぼしながら下界の情報処理を行うことをクロスモーダル現象というが、今回の実験で、視覚と嗅覚のクロスモーダル現象の存在が、心理学、生理学データに基づき実証された、としている。

NICTは今後、映像のスピード感が変わる理由や詳細なメカニズムなどについて引き続き調べる必要があるとし、こうした基礎研究だけではなく、今回の発見を仮想現実(VR)やエンターテインメント産業に応用することも視野に入れ、研究開発を行うと意気込んでいる。

今回の成果は8月2日、スイスの国際学術誌「フロンティアーズインニューロサイエンス」に掲載された。

 

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