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日本の児童文化に貢献した個人、団体に贈られる第55回ENEOS児童文化賞と、同じく音楽文化の発展に寄与した個人、団体を対象にした第50回ENEOS音楽賞の表彰式が11月20日(金)午後2時から、東京都千代田区のENEOS本社と受賞者をオンラインでつないだリモート形式で開催される。今年の受賞者は児童文化賞が作家の落合恵子氏、音楽賞の邦楽部門が雅楽演奏グループの伶楽舎、洋楽部門本賞がソプラノの佐藤美枝子氏、洋楽部門奨励賞が古楽アンサンブルのアントネッロ(主宰・濱田芳通氏)の各氏。副賞は賞金200万円。
▽元はモービル賞、半世紀の歴史
半世紀の歴史を持つENEOSの各賞だが、一般にはなじみが薄い。これらの賞は元々、モービル石油が主催者で、1966年の創設時から2000年まではモービルの冠が付いていた(2001年~2011年はエクソンモービル)。中高年にはモービル賞で耳になじんでいる人が多いかもしれない。モービル石油が他の石油会社と合併して社名が変わったのに伴い賞の名称も変わり、ENEOSになったのは今年から。担当の佐藤由理・総務部長は「児童文化賞と音楽賞は歴史と伝統がある。企業が統廃合を繰り返す中でも、継続していく価値があると判断した賞は引き継いでいく」という。ほかに創作童話を対象にしたENEOS童話賞も、元は共同石油が主催者だった。エネルギーの会社らしく、2006年から水素エネルギー社会の早期実現に貢献することを目的としたENEOS水素基金も創設されている。
児童文化賞の受賞者は詩人の谷川俊太郎氏、コーラスグループのダークダックス、人形作家の辻村ジュサブロー氏、タレントの萩本欽一氏、テレビ番組の「中学生日記」(NHK)など多彩だ。音楽賞も指揮者の小澤征爾氏、作曲家の故武満徹氏、オペラの二期会などが名を連ねる。洋楽部門には若手を対象にした奨励賞が1989年から設けられ、テノールの錦織健氏、バイオリンの千住真理子氏らが受賞。ユニークなのは邦楽部門で、第1回の受賞者は琴古流尺八の故山口五氏、第2回が長唄唄方の故松崎倭佳氏と三味線の故稀音家幸氏と、今風に言うと〝マニアック〟な選考だ。担当者によると、なかなかなじみが薄い分野の功労者にも光をあてるとして邦楽が対象になり、長年の実績に視点を置いた功労賞的な意味合いを持っているという。過去49回の受賞者のうち、その後23人が重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されており、選考の確かさを表している。
▽東京2020公認プログラムの一環
こうしたメセナ(企業の文化・芸術への支援)活動は、日本がバブル景気に浮かれた1980年代後半から90年代にかけて盛んに行われたが、バブル崩壊後は急速にしぼんでいった。ENEOS賞のように50年も続いたのは極めて珍しい。佐藤部長は「童話を含めた児童文化、邦楽、洋楽などでENEOS賞が励みになり、その分野の成長に役立つなら今後も続けていきたい。会社の業績に左右されるべきではないと考えている」とポリシーを説明した。 ENEOSは来年開催の東京オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナー。大会支援だけでなく、バスケットボール部や野球部が主催するクリニックや指導教室、製油所を地域住民に開放してのフェスティバル、それにENEOS各賞の表彰など、さまざまな活動が東京2020公認プログラムとして認められている。