2014 年、初めて竹下先生の講演を拝聴しました。自分の弁当を自分で作ることで、子どもが成長するために必要なことを学ぶことができる「弁当の日」。いつか実践したいと思い続け、2017 年度に校長として赴任した十和田市立松陽小学校で「弁当の日」を始めました。

2年後に転勤になりましたが、学校歯科医の木村先生からも応援いただき、現任校でも「弁当の日」を実施することができました。まずは、「弁当の日応援団」団長の大友歯科院長を招いて講演会を開きました。また、職員のアイディアで、町の栄養士さんを招いて弁当作りのワークショップを行いました。そして、冬休み明けの初日、5・6年生の子どもたちが手作りの弁当を持参し、本校初の「弁当の日」が実施されました。当日は給食がなかったので、弟や妹の分まで作った子もいました。お父さんやお母さんの弁当を作った子もいて、職場で自慢したという声を聞きました。早起きするのが大変だったようで、いつも食事を作ってくれる家族への感謝の気持ちが芽生えた子がたくさんいました。新型コロナウイルス対策で臨時休校になったとき、「弁当の日」を思い出して、自分で昼食を作った子もいたそうです。

「弁当の日」は、子どもが自立するために必要なことを身に付けるだけでなく、家族への感謝や思いやりの心が育ちます。また、食への関心が高まり、自分の力でやり遂げることで、達成感や自己肯定感を得ることができます。始まったばかりの「百小弁当の日」ですが、子どもたちの成長のために、これからも続くことを心から願っています。

弁当の日に取り組んだ子どもたちと、その保護者からの感想も寄せられています。以下一部ご紹介します。

①本人:5時半におきて作りました。けっこうむずかしかったけれど、おいしくできたので、よかったです。
 家族:お料理が楽しいと思えたようで、よいきっかけとなりました。

②本人:弁当を毎日作っているお母さんは、すごいなあと思いました。
 家族:買い出しから調理、お弁当箱に詰めるまで、すごくがんばっていました。

③本人:自分で作ると、楽しいなと思いました。これからも作りたいな。
 家族:冬休み中も、お昼は自分で作って食べてくれて、助かりました。

④本人:1時間30分もかかって、これをいつもやっている母さんがすごいと思いました。これからは、手伝いをしようと思いました。
 家族:包丁をこわがりながらも、あきらめず最後までがんばりました。

⑤本人:初めて自分で弁当を作ってみて、時間がかかりとても大変だということが分かりました。
 家族:自分で決めたメニューをどんな手順で作ろうかと考えている姿は立派でした。

⑥本人:揚げ物のとき、油がとんで少しこわかったけれど、おいしくできました。次回は緑を増やして作ってみたいです。
 家族:家族みんなにお弁当を作ってくれて、ありがとう。ごちそうさまでした。

文・おいらせ町立百石小学校(青森県)校長  清水目明美

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