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カキの旬と言えば冬。しかし、春に出荷されるうまみたっぷりの養殖ガキがある。石川県穴水町の海で2年かけて育てられた春カキのお取り寄せ&オンライン料理イベント「オンライン牡蠣まつり」が5月22日開催され、OVO編集部員が参加。事前に届いたカキを使ったメニューに取り組む料理講座と、地元の人たちとの交流をするオンライイベントを体験した。
石川県穴水町は、本州の中央あたり、能登半島の真ん中で湖面のように凪(な)いだ内海を抱く、海と山に囲まれた風光明媚(めいび)な地。「能登の里山里海」は世界農業遺産に認定され、長い年月を重ねて育んできた伝統技術や食文化、農耕儀礼や美しい景観が守られ続けている。穴水には高い山がなく、川から水深10~25mと深いリアス式海岸の穴水湾へゆっくりと栄養素が注ぐ。深い海は、海水温が上下しづらく濁りも少ない。2~3年かけて町民自慢のおいしいカキを育て、「穴水のカキを食べ慣れた食通は、他のカキには手を出さなくなる」といわれるほどだという。
その穴水のカキも、コロナ禍で日の目を見ることが減った。穴水町では春夏秋冬折々の能登の「美味いもの(うまいもの)=まいもん」を提供する「穴水まいもんまつり」を開催。冬のまいもんまつりのイベントとして毎年2月に行われる「雪中ジャンボかきまつり」には、約2万人のカキファンが全国から訪れてきた。県外への流通がほぼなく全国的な知名度は低い穴水を含む七尾湾のカキを、全国から訪れるカキファンに味わってもらう貴重なイベントだが、今年は中止に。余ったカキは10万個。そこで、コロナ禍でもおいしく育ったカキたちを紹介し、おうちで味わってほしいと企画されたのが今回のオンラインイベントだ。クラウドファンディングサービス「Makuake」を利用し、穴水町とJTBコミュニケーションデザイン(東京)・家事代行マッチングサービスの「タスカジ」 (東京)・アイクリエイト(東京)がコラボした。
イベントの1~2日前に参加者に届いたのは、⽳⽔の殻付きカキと殻を外したカキ各10個ずつ。殻付きカキ10個は、イベントまでに殻を外しておくようにとの指令あり! 筆者も能登スタイルの殻付きカキのむき方の動画を見ながら初めて挑戦。思った通りかなり力を使う作業に難儀しながらも、おいしそうなカキの香りを味わいながら殻を外す作業は、料理への期待をかなり高めてくれた。
当日のイベント開始後はまず、穴水町観光交流課職員の方が同町の魅力や観光情報を紹介。カキ生産者の方が海から、穴水の海やカキの育ち方・おいしさの秘密などを伝えた。いよいよお楽しみの料理は、カリスマ家政婦・管理栄養士としてとして各メディアでも話題のタスカジの「すずきよさん」が丁寧にリードした。
具材や調味料、道具を用意しておき、参加者が料理をする様子をたすかじスタッフさんが確認し、脱落者が出ないよう配慮した進行で、1時間超の中で、「カキのパエリアカレー風味」「カキのギョーザカッテージチーズ入り」「カキのワイン蒸し トマトソース添え」「カキのオイル漬け」「ベビーリーフのカッテージサラダ」の5品が完成した。
料理完成後は、町職員さん、漁師さん、地元飲食店「NOTO DINIG CAFE&BAR 能登バルAZ(アズ)」のオーナーさんたちが、出来上がったカキ料理を味わうイベント参加者たちとオンラインで交流した。石川県在住経験のある参加者女性からの「穴水のまいもんまつりを毎年楽しみにしていた。今は東京に住んでいますが、イベントの情報を見て跳び上がるほどうれしくて、穴水のカキが食べられるんだったら、と参加しました。(コロナ禍で)色々大変と思いますが頑張ってください」との笑顔のコメントに、穴水の皆さんも感激の様子。夫婦と小4の娘さんで料理、交流会に参加した東京・墨田区のファミリーは、お父さんがウイスキーとカキの相性などについて質問。能登バルAZオーナーの新出洋さんは、ウイスキーでカキを蒸す“上級者向け味わい方”も紹介した。新出さんは今回のクラウドファンディングの商品として、大ぶりのカキとニンニク、鷹の爪を低温のオリーブオイルで煮た後、新たなオリーブオイルで3日間漬けこんだ「カキのオイル漬け」を考案。来年以降、全国で取り寄せができるよう企画中という。小4の女の子が新出さんに「お兄ちゃん、すごく物知りだね! 遊びに行きたい」と語り掛ける場面もあり、温かい雰囲気に包まれた。
漁師さんからは、炭火焼きした殻付きのカキのおいしさ、その際に「殻の中に出てくるカキのうまみを含んだ海の塩に日本酒を垂らしてキュッとやるのもおいしい!」などの通の味わい方も伝授され、参加者たちは興味津々。チャットにも料理の感想や穴水のカキの取り寄せ方法の質問などが寄せられ、開始直後は参加者たちもちょっと緊張気味!?だった交流会も大いに盛り上がりを見せた。6月ごろまでが旬という穴水産のカキは、インスタグラムの河端水産のアカウントから、5月末まで取り寄せの注文ができる。
国内旅行すらままならない状況が続く。観光業・飲食業の皆さんたち、それを応援しようとする人たち、その土地を訪れてみたい人たちが、“おうちでできる食の旅体験”という形でつながれるのは、コロナ禍ならではの発見かも知れない。交流を通したたくさんの「いつか必ず訪れたい!」「現地で特産品を味わいたい!」の気持ちが、地元の人たちの活力となってほしい。