子どもたちが、ゲームをしたりスマホを見たりして夜更かししてない? 日本の大人の睡眠時間も世界的に見て短いそうだが、子どもも同様のようだ。
世界17カ国・地域で調べた「0~3歳児の総睡眠時間」の国際比較(Mindell らの研究論文、2010)によると、ワースト1位は日本の11時間37分。そのあとにインド、韓国、台湾、香港のアジア勢が続く。
こうした子どもの睡眠不足の影響を研究している熊本大学の三池輝久(みいけ・てるひさ)名誉教授が提唱しているのが、睡眠教育である「みんいく」だ。「みんいく」は、平成24年度に堺市の中学校からスタート。現在は大阪府堺市や青森県三戸町、新潟県三条市の学校などでも行われているという。
さらに多くの子どもたちにしっかり眠ることの大切さを伝えようと、「みんいく」地域づくり推進委員会編の絵本『ねこすけくんが ねているあいだに…』(リーブル・税込み1,320円)がこのほど出版された。ねこすけくんというキャラクターと比喩を用いて、複雑な脳の話を視覚的に分かりやすく解説している。
内容はこうだ。
元気な男の子のねこすけくんは、お母さんに「おやすみ」を言った後、布団にもぐり込んでゲームをしていた。すると、ひつじのネルが現れて訴えた。
「きみの頭の中が大変だよ!」
驚いたねこすけくんは、ネルに連れられて自分の頭の中へ。
すると、ねこすけくんの脳は老廃物でいっぱい。知識を整理したり記憶を定着させたりすることが、うまくできなくなっていることが分かった。さらに、イライラなど負の感情が募り、成長ホルモンの分泌が阻害されていることなども確認できた。
「ぼくが寝ている間に、頭の中でこんなにいろんなことが起きてるなんて知らなかった。」
納得したねこすけくんは、翌日からゲームをせずに8時に眠るようになった…というお話だ。
この絵本は前作『ねこすけくんなんじにねたん?』(リーブル)に続く「みんいく」絵本の第2弾で、スタンフォード大学医学部精神科の西野精治(にしの・せいじ)教授が監修を行い、大人でも「へえ、そうなんだ」と思うような最新の睡眠研究の知見も踏まえている。なかなか寝ない子どもに読んであげたい「みんいく」絵本、寝る前の読書タイムに取り入れてみるのはいかが?