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「自然と共存」する、というのは非常に難しい一面もある。北海道では個体数が増加したエゾシカが人々の暮らしに深刻な影響を与えている。農作物だけでなく、森林の樹皮を食害して木を枯らしてしまったり、交通障害を与えたりするため、害獣指定動物となっている。しかしその一方で、その食肉は昨今のジビエブームなどもあって貴重な地域資源になり得ている。
計画的な頭数調整が行われたエゾシカに、食肉以外の利用価値を創造するYUK COSMETICS(天鹿・札幌市)では、これまでエゾシカ脂を配合したコスメを製造・販売してきた。そしてこの度新しく「YUK HAND TREATMENT FOR ESSENTIAL WORKER」を開発し、クラウドファンディングサイトで目標金額を達成した。
この商品が生まれたきっかけは、北海道の医療機関を襲った新型コロナウイルスのクラスターの発生だったという。まさにウイルスと「戦っている」状態の病院で、一般人の何倍もの回数のアルコール除菌や手洗いをする医療従事者は深刻な手荒れを抱えていた。そこで、すでに一般販売もされていた同社従来品のハンドクリームを改良し、潤うだけでなく手指を乾燥から守る成分を配合、さらに医療現場で使えるように無香料にしたハンドクリームを医療機関に寄付。この出来事から誕生した手指を守る商品を、この度一般に向けて販売できるよう進めてきたというわけだ。
エゾシカ(アイヌ語でユク)の脂は、皮膚を保護して再生を促し、肌を清潔に保つ効能があるとして、かつて中国やアイヌの人々の傷薬ややけど薬として使われてきた。また融点が他の動物の脂よりも低く、肌に乗せると体温で滑らかに解ける。このハンドクリームもエゾシカ脂の良さを生かし、軽やかなテクスチャーでありながらしっかりと手指を潤せる。獣脂の気になる臭いも、特殊脱臭製法により全く気にすることなく使用できるという。
同社では他にもエゾシカの力を借りたヘアケア商品やスキンケア商品のラインアップを取りそろえている。